症状別にくわしく知っておきたい!

【認知症の症状19】夕方になると不安になる

 

 

夕方になり、太陽が沈み始める頃からソワソワして不安になる認知症の人がいます。

 

しかし、じつは夕方にこのような気持ちになるのは認知症の人だけではありません。

 

子供でも、若い人でも、誰でも夕方になると何となく「もの悲しい気持ち」になるものです。

 

では、どうして夕方になるとこのような状態になるのでしょうか?

 

そして、認知症の夕暮れ時のソワソワ、落ち込みにどのように対応していけば良いのでしょうか?

 

夕暮れになると不安になる人たち

 

認知症の人で夕方になるとソワソワして落ち着かなくなり、歩き回ったり、「家に帰る」と言い出して外に出てしまう症状がでることがあります。

 

これは一般的に夕暮れ症候群と呼ばれているもので、介護人が困る症状のひとつでしょう。

 

日中は物静かで穏やかに過ごしていたのに、夕方になるとソワソワしだし、「家に帰ります」といって荷物をまとめてしまえば家族も悩みますよね。

 

帰宅願望だけでなく、イライラしだす、または落ち込んでしまい話しかけても返事をしないなど。

 

夕方になるとさまざまな症状が出ますが、これらの共通点はどれも「不安」です。

 

では、なぜ夕方になるとこのように不安になるのでしょうか?

 

認知症の人だけでなく、子供、成人、高齢者も含めて、まず人間全体の生体から考えてみましょう。

 

自律神経と光の関係

 

私たち人間は、自律神経の働きがあるからこそ地球という星に暮らすことができています。

 

なぜならば私たちは常に変化していく環境の中で生きているからです。

 

 

■毎日変わる気候、温度

 

■朝、昼、夜と移行する時間

 

■さまざまな食べ物

 

■さまざまな他人

 

■さまざまなストレス

 

 

このように、私たちは、めまぐるしく変わる地球や周りの環境の中にいますが、その変化に自分の方から合わしていかなければいけません。

 

それを担っているのが自律神経です。

 

●気候や温度に合わせて体温を調節

 

●夜になれば眠くなり、朝になれば目が覚めるように調節

 

●お腹が空けば食べ物を摂取するように調節

 

●ストレスを感じれば体調を崩し休息をとるように調節

 

これらの働きに合わせて、適したホルモンを分泌させたり、血管を拡張、縮小させたり、胃液を分泌させたり・・など。

 

このように身体が環境の変化に合わせて順応できるように命令しているのが自律神経なのです。

 

この自律神経はさまざまなことに影響を受けますが、とくに光に大きく作用します。

 

朝の太陽の光を浴びれば、「さあ!今日もがんばるぞ!」と気合いのスィッチがONに。

 

逆に、太陽が沈んでいけば、「今日も1日が終わったな」と気合いのスィッチがOFFになります。

 

このように、年齢は関係なく、自律神経の働きで誰でも夕暮れになると昼間の気分とはちがう気分になるものです。

 

夕方から不安になる理由

 

夕方になるとどことなく不安になる理由は自律神経だけではありません。

 

今までの経験も大きく影響を受けています。

 

では、自律神経と経験。

 

この2つがなぜ不安につながるのでしょうか?

 

昔のままの自律神経

 

前述したように、私たち人間の体は自律神経が支配しています。

 

この自律神経の役割は「生命の維持」

 

環境にうまく順応できるように作用するのも、すべてはこのためです。

 

では、なぜ夕方になると人間は不安になるのでしょうか?

 

今でこそ、治安が守られ身の危険を感じることなく暮らせるようになりましたが、昔は違いました。

 

夜になると暗くなるため、どのような獣が襲ってくるのかわかりません。

 

そのため夕方くらいからどことなく不安な気持ちがわきあがります。

 

また夕方になると1日の疲れから、自分をガードする力が弱まるため不安がさらに広がります。

 

これらの不安は自分の身を守るための警戒心であり、生命を維持させるための本能といえるでしょう。

 

現代はもちろん、夜間に獣が襲ってくることはありません。

 

しかし、自律神経の働きの基本は昔も現代も変わらず作用しています。

 

夕方は「さよなら」の時間

 

夕方は1日の終りです。

 

子供の頃、夕方になると楽しかった遊びも終りにして友達に「さよなら〜また明日ね」といって家に帰りましたよね。

 

また、夕方になると市内には6時を告げる時報が少しせつない気持ちなる「カラスの七つの子」などのメロディで流れたり。

 

このように私たちは子供の頃からの経験で、「夕方はちょっとせつないもの、寂しいもの」というイメージがどこかにあります。

 

大人になると仕事や家事に追われ、それどころではなくなりますが、子供はとても感性がストレートに出るもの。

 

また、それは高齢者も同じです。

 

とくに、認知症になると感情がそのままストレートにあらわれるため、夕方のせつない感性がでやすい状態になると思われます。

 

 

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夕暮れ症候群の対応法

 

認知症の夕暮れ症候群は介護する側も困ってしまったり、心配になったり・・・と大変です。

 

何とか改善したい症状ですよね。

 

夕方や夜間の外出は転倒や骨折につながりますし、目的を忘れてしまい、そのまま行方不明になることもあり危険です。

 

それだけは何としても防がなければいけません。

 

夕暮れ症候群の原因は自律神経や経験などの「不安」からきていますが、その他の不安を軽減させてあげることで症状をおさえることは可能です。

 

では、具体的にどのような対応をすれば良いのでしょうか?

 

 

■否定せずに本人に合わせる

 

たとえば、夕方になると「家に帰ります」という時の対応として、「あなたの家はここですよ」と正しいことを言ってはいけません。

 

なぜなら本人の世界では自分の家は他にあるのですから。

 

(記事参照:【症状8】帰宅願望

 

できるだけ混乱させないために、本人の世界に合わせて対応してあげるようにしましょう。

 

 

 

 

 

今日はもう遅いですから今度にしましょう。明後日、僕が送っていきますよ


 

 

 

 

 

 

ふうん。そうか、明後日か


 

 

 

このように本人の世界に合わせて否定することなくそのままの流れで受けとめてあげましょう。

 

ここでコツは、「明日」ではなく、「明後日」という言葉を使うことです。

 

「明日」と言ってしまうと、荷物をまとめてしまうことがあるので、「明後日」という言葉を使うことでそれを防ぐことができます。

 

しかし、「三日後」や「一週間後」ではいけません。

 

それでは長すぎてしまい、「そんなに待てるか!」と逆効果になるので気をつけましょう。

 

 

 

■お茶とお菓子を出す

 

夕方になると食事前なので小腹が空いているものです。

 

そこでさりげなくお茶とお菓子に誘ってみましょう。

 

 

 

 

 

○○屋のおまんじゅうを頂いたから、ちょっとお茶にしてからにしようね


 

 

 

 

 

 

あら!○○屋のおまんじゅうがあるのね!


 

 

 

このように、さりげなくお茶とお菓子に誘います。

 

この時のために、本人が好物のお菓子があればそれを用意しておくと良いでしょう。

 

日常の不安感を軽減する

 

認知症のさまざまな症状の原因は不安感からきています。

 

(記事参照:認知症の症状の共通点は「不安感」

 

この夕暮れ症候群も同じです。

 

うまく対応するためには、介護する側が、

 

■人間は誰でも多かれ少なかれ、自律神経の働きと幼い頃からの経験から夕方になると、もの悲しい気持ちになる

 

このことを理解した上で、本人が抱えている日常の不安感をできるだけ軽減できるようにしてあげましょう。