症状別にくわしく知っておきたい!

高齢者の便秘は認知症に影響する

 

高齢者は全体的な体の機能が衰えるため、どうしても便秘になりやすくなります。

 

「たかが便秘ぐらい」

 

などと、あなどっていてはいけません。

 

お腹の調子は脳と深い関係で結ばれています。

 

ですから、便秘のような不調のお腹を抱えてしまうと認知症の周辺症状に大きな影響が出ることがあるのです。

 

便秘は思った以上に心を重くする

 

便秘とは通常、3日以上にわたり排便がない状態であり、あっても便の量が1日35g以下とされています。

 

便秘は日常的に起こりやすいため、ついつい気楽に考えてしまいがちですが、じつは私たちが思っている以上に心を重くしてしまうことがわかっています。

 

海外でおこなわれた調査では便秘の時には身体的だけでなく、精神的にも大きなダメージを与えてしまい、生活の質が低下するという報告があります。

 

若くて、健康であっても、便秘になると生活の質が低下するのですから、高齢であり、認知症とならば、さらにその影響が大きいといえるでしょう。

 

人間は腸が幸せのもと

 

腸は第2の脳といわれています。

 

セロトニンという言葉を聞いたことがないでしょうか?

 

セロトニンとは精神を安定させる物質で、神経細胞同士がスムーズに情報を伝達できるために重要な役割をしています。

 

このセロトニンが不足すると以下のような症状があらわれます。

 

疲れやすい

やる気がない

集中力がない

ボーといている

イライラする

欲求不満

怒りっぽい

眠れない

 

このようにセロトニンが不足するとさまざまな精神的不調があらわれてくるようになるのです。

 

じつはこのセロトニンは脳だけでなく腸でも作られていることがわかってきました。

 

昔からのことわざを見ても、腹という部位が特別な意味をもっていることがわかります。

 

■腹が立つ

 

■腹を割って話す

 

■自腹を切る

 

■腹を読む

 

このように、昔の人は「腹にこそ人間の本心がある」と知っていたのかもしれません。

 

そんな大切なお腹の腸の調子が悪くなれば精神的ダメージを受けてしまうのも理解できますよね。

 

高齢で、しかも認知症を抱えていては受ける精神的ダメージはさらに大きくなるでしょう。

 

つまり、お腹の調子は認知症のさまざまな症状の原因となる不安感を増幅させ、悪化してさせてしまう恐れがあるので注意が必要なのです。

 

(記事参照:認知症の症状の共通点は「不安感」

 

高齢者は便秘になりやすい

 

では、高齢になるとどうして便秘になりやすくなるのか?くわしくみていきましょう。

 

腸の動きが弱くなる

 

腸の動きが原因でおこる便秘は以下の3つに分かれます。

 

【弛緩性】
大腸の筋力が低下して、ぜん動運動(便を送り出す機能)が弱くなってしまう

 

 

【直腸性】
直腸の反応が鈍くなり、便が下まできているのに便意を感じない

 

 

【けいれん性】
ストレスなどで大腸の動きが異常に強くなってしまう

 

このように腸の動きの低下によって便秘がおこりますが、高齢者にとくに多いのが弛緩性です。

 

高齢になると腹筋力が弱まるのはどうしようもありません。

 

脱水症状

 

高齢になると脱水状態になりやすくなります。

 

すると便が硬くなり、腹筋力が弱まっているのでますます便秘がおこりやすくなります。

 

(記事参照:脱水症状は認知症を悪化させる

 

食事量の減少

 

高齢になると動くことが減るため、若いときよりもグンと消費カロリーが減ります。

 

そのため、どうしても小食になりがちに。

 

小食になると便の量も減るので、毎日出ることがなくなり、そのため排便の習慣がつかなくなってしまいます。

 

薬の影響

 

服用している薬の影響で便秘になることがあります。

 

とくに「抗うつ剤」や「抗生物質」など。

 

これらの薬を服用していて便秘症状がひどい場合は医師に相談してみてください。

 

正しい排便ペースを知っておく

 

「毎日出ていないと便秘だ!」

 

と、思っている人がいますが、それは間違いです。

 

食べ物の栄養が吸収される小腸の長さは約6メートルもあり、通過するのに6時間かかります。そのあと、大腸で18〜66時間かけて水分が吸収されて大便になるのです。

 

ですから、通常は1週間に2,3回ぐらい排便があれば腸はきちんと動いていることになります。

 

過敏に考えすぎてはいけない排便ですが、1週間まるまる出ないような状態は早めに対応しなければいけません。

 

高齢者に適した便秘の食事療法

 

「便秘対策には食物繊維!」

 

と、一般的に言われていますよね。

 

しかし、高齢者の場合は食物繊維の摂りすぎには気をつけなければいけません。

 

食物繊維を大量にとると確かに便のカサが多くなります。

 

ですが、腹筋力が低下し、便を送り出すぜん動運動が弱まってしまった高齢者の場合、便のカサが増して腸への刺激を感じても、あまり効果がありません。

 

それでもなお食物繊維を摂り続けるとカサはますます増えて、ゆっくりと便が進むうちに水分がさらに吸収されて便はカチカチになってしまいます。

 

食物繊維には2種類ある

 

高齢者に適した食事療法をしていくには食物繊維の種類を知っておきましょう。

 

食物繊維は以下の2種類があります。

 

1.水溶性

 

2.不溶性

 

高齢者に適した食物繊維は水溶性です。

 

しかし、不溶性はどの食材にも多く含まれていますが、水溶性は含まれている量が少ないため意識的に摂る必要があります。

 

【水溶性食物繊維を多く含む食材】

 

ごぼう

さつまいも

やまいも

ニンジン

オクラ

こんにゃく

きのこ類

海そう類

 

 

水溶性食物繊維を意識的に摂るようにすれば、自然と水溶性と不溶性のバランスがとれてきます。

 

このように高齢者の場合、水溶性と不溶性の食物繊維をバランスよく摂ることが大切だということを覚えておいてください。

 

 

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排便習慣と声かけ

 

便秘対策として普段から排便習慣がつくように気を配ってあげましょう。

 

【対応例】

 

■朝食後の決まった時間にトイレに誘導する

 

■出ないときも便座に座ってもらう(条件反射で出るようになることがある)

 

■リラックスできるように良い香りや音楽などを流す

 

このようにトイレに誘導して、できるだけ排便習慣をつけてもらうようにします。

 

そこで次に大切なのが声かけと排便時の配慮です。

 

声かけはさりげなく

 

認知症が進んでいる場合は、「トイレにいきましょう」と誘導しても理解してもらえないことがあります。

 

 

※そのようなときは・・

 

 

 

 

 

ちょっとお手伝いしてもらいたいことがあるんですが、こっちに来てもらえますか?


 

 

 

 

 

ん?なんだ?


 

 

 

 

※トイレの前に来たら・・

 

 

 

あ!ここはトイレですね!ついでに寄っていきますか?


 

 

 

 

 

トイレか、そうだな


 

 

 

このような感じに別のことで声かけをして、トイレの前でさりげなく誘導してみましょう。

 

 

トイレはとてもデリケートな場

 

認知症が軽度の場合、トイレの中にまで誰かがついてこられると緊張してしまうことがよくあります。

 

それはトイレという場所がとてもデリケートな空間であり、本来ならば絶対にひとりで入る場所だからです。

 

そこへ他の人が介助のためとはいえ、一緒にいるというのは非常に不自然なこと。

 

このような本人の立場になって対応してあげましょう。

 

なかにはトイレの介助が恥ずかしく、ためらう人もいます。

 

 

※そのようなときは・・

 

 

 

 

 

すまないねぇ。こんなことまでさせてしまって・・


 

 

 

 

 

ううん!気にしないで!こっちこそごめんね、トイレの中までついてきちゃって


 

 

 

 

このように、本人の立場になって優しく受け流してあげるようにしましょう。

 

精神的に気楽になってもらうことが便秘対策にはとても大切です。

 

便秘が解消したときは一緒に喜ぶ

 

ご紹介してきたように便秘は思っている以上に精神的ダメージが大きく、本人の心を重くしてしまいます。

 

ですから、その重荷が解消されたときは一緒になって喜んであげてください。

 

 

 

 

 

スッキリして良かったね!


 

 

 

 

便秘が解消した時だけでなく、できれば、排便があるたびに毎回喜んであげてください。

 

便秘の対応法は色々ありますが、

 

本人の立場になって出てくる、介護人のあなたの言葉と笑顔が、なによりも効果的な便秘対策かもしれません。